流れ出る言葉たちの住家ワタシ編。


「え?どこにいるの?」
「ここだよ、ここ(笑)」私は答える。

「え?わかんないよ?どこ?」
「こっちだよ、こっち(笑)」私は答える。

「かくれんぼでもしてるつもり?」
「半分そんなつもりかも(笑)」私は答える。

「ふーん。」
「ふーん(笑)」私は答える。

「真似すんな!」
「真似してないけど?(笑)」私は答える。

「真似したじゃん?」
「だって、似てきちゃったんだもん(笑)」私は答える。

ほんと、似てきちゃったんだもん。
なんだか。

昨年、初夏のことだった。
品川駅から新幹線の6号車に乗り込んだ。
その日は男性が多く3人席の真ん中か2人席の通路側が空いていた。
東京駅からの乗客がほとんどだろうから仕方ない。
座ることをあきらめようかと思ったが
その日は慣れない東京の街を歩いたためか座りたいと思った。
2人席の通路側ならば座りやすいかと思い
どの人の隣りにしようかと考えた。
その日は平日で時間は昼の3時ごろだった。
なぜか男性が多く女性の乗客がいない。

酒臭い若い男性がいた。
「この人の隣りはやめよう。」
大学生らしき若者がDSに夢中だ。
「この人の隣りはやめよう。」
同世代くらいの真面目そうな男性がいた。
「この人の隣りは・・・・・・やめよう。」
白髪頭がひとつ見えた。
「この人の隣りにしよう!」

「すみません。お隣よろしいですか?」と聞くと
「はい。」と一瞬驚いて振り返りその男性は答えた。

新幹線は走り出していた。
その男性を直視できないが
きちんとした身なりの紳士風だ。

「この人の隣りならなんとなく安心だな」
そう思って私は少し椅子を倒してゆったりと座っていた。

が、途中何やらその白髪の紳士が落ち着かない様子で
そわそわしはじめた。
「私が隣りに座ったのが気に入らなかったのかな・・・」
でも今更席を立つのもおかしい。
気にしないで目を閉じていようと思った。

紳士の足が揺れているのがわかる。
下を向いた私の視野にそれが飛び込んでくるのだ。
紳士の手がせわしなく動いているのもわかる。
本のページをガシャガシャとめくっている音がするのだ。

次の到着駅のアナウンスが熱海という時だった。
「すみません。」と言って立ち上がった紳士は
ペコペコとお辞儀をしながら慌てて通路に出て熱海で降りて行った。

緊張させてしまったのは確かだ。
不機嫌ではなかったようだけれど。

でもこういう時は自分より若い男性や
歳の近い男性の隣りにはなんとなく座りにくい。
父親以上の年齢の人の隣りをついつい探してしまう。

何私、女を意識してるんだか(笑)

教育実習で幼稚園に行った冬実は
お部屋のお掃除を子供達に声がけする場面で
「掃除機さんに変身!」
とそのクラスの担任の先生が言ったのをまねして声をかけた。
「ゴミをあつめましょう」
と普通に言っても子供は動かないだろう。
とても面白い声がけだと思っていた。

「掃除機さんに変身!」
ものすごいスピードでごみを集める子。
丁寧に集める子。
どの子も頑張ってゴミをひろい
「これはつかえる!」
と思っていた。

でもごろんと床に寝転んで何もしない子がいた。
「○○(名前)掃除機さん、どうしたの?」
体調悪いのか熱でもあるのかと心配になり話しかけると
「今壊れているところ。」
そう答えて○○はそのまま床に突っ伏して手足を広げ
みんながゴミを拾い終わるまで止まっていた。
そしてその時間が終わると嬉しそうに園庭に駆けていった。  

他の場所では男の子どうしが頭突きをしあい決闘していた。
ブーンだとかブォーとは言いながら。
ゴミを集めている気配は特になかった。
笑。

「迷惑かけたくないの。」
「自分の人生の大変さとか背負わせたくないの。」
ひかるは悠平に言った。

「ひかるはすごくやさしいよね。」
「ひかるに想われる人がなんか羨ましいな。」
悠平はひかるに言った。

悠平はがむしゃらに進むタイプで少々自虐的だった。
ひかるには悠平の行動がこわいくらいの時もあった。
ひかるは悠平の強烈なアプローチもこわかった。

ひかるには好きな人はいた。
でも進んでいけずにいた。
でも悠平が近くに来て手をさしのべてくれたからと言って
悠平の手をすぐに握り返すことだけは出来なかった。

ひかるは自分の人生がいかに大変なのかを悠平に話した。
自分が今、彼氏をつくるつもりがない理由を。
遠まわしに悠平に自分のことをあきらめてもらうつもりで。
嫌な自分前面に出しながら。
「自分みたいなのの彼氏になって
あなたには苦労させたくない」
というニュアンスで。

「自分もまたつきあうなら絶対ひかるみたいな子探すよ。」
あっさりと悠平は言った。
「ひかるの言葉に感動した・・・すごい・・・」
思っても見ない言葉まで出た。

そしてそのあとしばらくして悠平は転職したか何かで
行方がわからなくなり、メールも途絶えた。

まわりでは変な人と言われていた悠平だけど、
ひかるは今も時々悠平がどうしているかと考える。
自己破壊型の悠平は今もどこかで誰かを助けようとしてるのかな、と。

以前会社で上司ともめた女の先輩がいた。
まわりは冷たい目で見ているのに
悠平だけはその先輩の近くに行き、
話を聞いたりフォローをしつづけた。

正直ひかるにも悠平がどうしてあそこまでするのかわからなかった。
好意?と言っても恋ではない?
相手は旦那も子供もいてそれにここは職場だ。
同情?哀れみ?
「今考えてみたら、私へ近づいたのも同情だとか哀れみだったのかも知れない。」
ひかるは思った。

「心弱っているの見抜いて近づいてきたんだわ、きっと。」
恋心ではなかったんだろうなとひかるは今になってなんとなく思った。

そして「彼氏とか好きな人いないんなら付き合ってほしい。」
と悠平が言ったことも思い出した。

「違ったか。」
誰に聞かれることもないけれど、ひかるは小さな声でつぶやいた。

こころはみかづきうさぎになりました。
三日月ばかり聴いていたので三日月が好きになったのです。
そして三日月の夜、どこかへ旅立ちました。
今もどこかを放浪中です。

そして今日ペンギンがやってきました。
みなみぺんたろうといいます。
とぼとぼと歩く姿を見ていたらとてもさびしげで。
でも後姿を見たらそうでもないな・・・
わたしの方がさびしげに見えるだろうなって思いました。
ぺんたろうが居てくれたらさびしさ少しは紛れるかもです。

遊びに来られた方もぜひぺんたろうと遊んでいってください。
では。

「出会った頃の私はおせっかいおばさんみたいだったね」
水香は荘平に言った。
荘平は何も言わなかった。

「本当はおせっかいが上手じゃないの」
水香は荘平に言った。
荘平は何も言わなかった。

なんの下心もなく水香は荘平にただ伝えたかったのだ。
自分の知識が少しでも荘平の役に立てばと思ったからだ。

今、水香は思う。
あの時なぜあんなにおせっかいがとまらなかったのだろうと。
今、荘平が同じように何か困っているとしたら
すぐにはこうでこうよとかは絶対言わないだろう。

大切なことを知ったのだ。
自分がいつも知ってることを何もかも話せばいいというものではない。
どんな思いやりが本当に荘平に届くのか?
それを考えるようになった。

「ビール飲む?」
「いらない」
「じゃ、ワインは?」
「いらない」
「これはちみつたっぷり!」
「いらない」
「疲れた時はこれロー○○ゼリー」
「いらない」
「美容にいいよざ○ろジュース」
「いらない」
「夏と言えばこれでしょマンゴー」
「いらない」

彼女にとってはいらないものばかりだった。
だから「いらない」と言った。
それは遠慮していたり意地をはっているのではなかった。
味が嫌いとかではない。
彼女の体と合わなかったからだった。
女性に人気とか女性の体によいと噂されているものが
すべての女性にあてはまるものではない。
彼女も彼女の体には強すぎると知ってから
だんだん遠ざけて摂らないようになってしまったのだった。

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